「売上を下げる経営」

みなさんは、会社の業績を上げるために、自社の社員に何と言っているでしょうか。

売上を上げろ!と言っていませんか?実は、売上を上げることを突き詰めていくと、会社の資金は減り、従業員は疲弊し、業績を上げるどころか業績を下げてしまうことがあります。

 

売上を追い求めないビジネスモデルで、各メディアから注目されている会社があります。「佰食屋」という飲食店を運営している株式会社minittsさんです。代表の中村朱美さんは、著書「売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放」で以下のように述べています。

 

「佰食屋」の特徴は以下の6点です。

1、ランチのみの国産牛ステーキ丼専門店

2、どれだけ売れても、1100食限定

3、インセンティブは、早く売り切れば早く帰れる

4、営業わずか3時間半、11時から14時半

5、飲食店でも、残業ゼロ

6、なのに従業員の給料は、百貨店並み

 

※中村朱美. 売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放 から抜粋

 

いかがですか?売上を追い求めないのになぜ、会社が回り、なおかつ、従業員に給料が払えるのか?今回初めて佰食屋さんの名前を初めて聞いた方はどうやってそんなことができるのか?と不思議に思われると思います。その秘訣が、冒頭お伝えした、売上を追い求めない(売上を減らす)事なのです。売上を減らすとどうなるのでしょうか。中村朱美さんは以下のようにおっしゃっています。

 

売上を減らすことによるメリット

メリット 1「早く帰れる」退勤時間は夕方17時台

メリット 2「フードロスほぼゼロ化」で経費削減

メリット 3「経営が究極に簡単になる」カギは圧倒的な商品力

メリット 4「どんな人も即戦力になる」やる気に溢れている人なんていらない

メリット 5「売上至上主義からの解放」よりやさしい働き方へ

 

※中村朱美. 売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放 から抜粋

 

上記のメリットは反対に考えると売上を増やした場合にはどうなるでしょうか。

私なりに考えてみました。

 

売上を増やすことによるデメリット

デメリット 1「早く帰れない」退勤時間は深夜

デメリット 2「フードロス増加」で経費増加

デメリット 3「経営が難しくなる」カギは多店舗展開等による管理増加

デメリット 4「どんな人も即戦力にならない」やる気に溢れている人がほしい

デメリット 5「売上至上主義による束縛」より厳しい働き方へ

 

極端な書き方をしましたが、売上を増やすことは、上記のようなリスクもあり得るという事です。もしかすると既に上記の事で悩まれている方もいらっしゃるかもしれません。解決策の一つとして、売上を下げるという方法もあるのです。

 

一方で、売上を追い求めていた会社が、やり方を変えずに「今日から売上は二の次だ!」と言っても、それは売上を減らすことを理解しているとは言えません。ポイントは上記のメリット3で掲げた「経営が究極に簡単になる」カギは圧倒的な商品力です。圧倒的な商品力とは、お客様から選ばれる商品で、なおかつ、高利益率であることです。

売上を伸ばすために多店舗展開、長時間営業、高い広告費にお金を投下するのではなく、如何にして高いコストパフォーマンスを発揮し、品質の高いものを提供できるかに時間とお金を投下すべきなのです。

 

一般的に、会社が成長するためには売上が必要と考える方は多いと思います。たしかに一定の売上は必要ですが、いまある経営資源でどれだけ売上を減らすことが出来るか、そして、利益率を高めるためには何をしなければならないのか、何をしてはいけないのかを徹底的に考え、新時代の経営を目指してください。

木下

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