金融緩和継続が発表 企業への影響は?

みなさんこんにちは。NBC坂井です。

今日は金融緩和についてのお話です。

先日ニュースで、日銀が引き続き金融緩和を継続することが発表されました。

普段からニュースや新聞で慣れ親しんでいる方もいらっしゃれば、

言葉は聞くけどよくわからない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで今日は、金融緩和が私たち中小企業経営者へ与える影響を見ていきたいと思います。

 

□金融緩和とは?

 

融緩和とは停滞する経済の成長を促す目的で、景気を良くしようと行う政策です。具体的に何をするかというと、国債(国の借金)を買い上げたり、政策金利と預金準備率(民間銀行は日銀にお金を預けないといけない比率)を引き下げることによって通貨供給量(世の中に流通するお金の量)を増やし、私たちがお金を借りやすくなるようにします。

現在の金融緩和政策は、以下の2点です。

2%の物価安定の目標

■長短金利操作付き量的・質的緩和

 

【物価上昇とお金の価値】

2%の物価安定目標とは、前年よりも2%の物価上昇を目指すという事です。

物価が上がる→企業が儲かる→労働者の賃金が上がる→労働者の購買力が上がる→需要が増える

物価が上昇する際、分かりやすくお伝えすると、上記のように経済は活性化していきます。しかし、過度なインフレはバブルを引き起こすこともあります。

ではどのようにして物価を上げるのでしょうか?

 

□金利と物価の関係

 

一つの方法は金利の引き下げです。

『金利=銀行借入に付随する支払利息』と考えると分かりやすいかもしれません。

金利が下がれば、個人においてはローンを組んで車を購入したり、住宅を購入したりする人がいるのではないでしょうか?企業では設備投資を検討したりするかもしれませんね。設備投資の発注を受けた会社も増収増益が見込めるかもしれません。

つまり、金利が下がることで消費や投資が拡大し、結果として景気回復につながります。したがって、通常は経済成長=物価上昇を引き起こすために、金利を引き下げるのですが、日本では長い間超低金利の政策が行われてきたため、それにも限界があります。

 

□長短金利操作付き量的・質的緩和

 

もう一つの方法は、長短金利操作付き量的・質的緩和です。

量的・質的金融緩和とは、日銀が市場にある国債などを買い戻す事で、市場にお金を増やす政策です。金融機関は、企業や個人にお金を貸すだけでなく、国にもお金を貸すことで、利息を得られる国債を保有しています。量的緩和政策により、金融機関が保有している国債を日銀が大量に買い上げると、金融機関が多くの現金を保有することになります。その現金を企業や個人に貸し出すことで、経済が循環することを狙っています。

短期金利:日本銀行の当座預金のうち政策金利残高に-0.1%のマイナス金利を適用

長期金利:10年国債金利が0%程度で推移するよう、長期国債の買い入れを行う

 

短期金利を-0.1%とは、金利の対象は私たちの預金ではなく、金融機関に対して付与しているものです。金融機関は保有している預金の一部を日本銀行にも預け入れています。その預け入れの金利をマイナスにしたのがこの政策です。

金融機関が日銀にお金を預けたままにしておくと、金利を支払わなければならないので、企業への貸し出しやなどで市場に流すようになりました。この金融緩和策を通じて、借入れをしやすい状況を作っているのです。

 

□金融緩和によるメリット・デメリット

 

金融緩和によって、実際に会社へどのようなメリットが生まれるのか把握しておきましょう。

■借入がしやすくなる

固定金利などのレートが下がるため、借入れにかかる金利が小さくなります。

■円安により輸出が増える

円安になる事で、相対的に海外からは日本の商品がお買い得の状況になるため、

日本の輸出品がのびます。

 

金融緩和のデメリット

■想定以上のインフレが起こる

金融緩和政策を行うと、想定以上のインフレが発生する可能性があります。

過度なインフレにより、経済が破綻した国もあります。低金利になると、特に不動産価格がバブル状態になる事もあります。

■金融機関の経営状況が悪化する

金利を下げて、設備や事業に投資したい企業や、住宅ローンを組みたい個人へお金を貸しやすくします。しかし、金利が0近くになるという事は、金融機関の利益が減るという事になります。

 

現在の経済状況を冷静に見極めることは、経営判断をするうえでも重要なことなのではないでしょうか?

今このような状況になっていることを冷静に分析できれば、過度に悲観的にならず将来を見据えた経営をすることができます。皆さんも今の円安と物価高の状況を冷静に見極め、ご自身のビジネスに活かしていただければ幸いです。