【3分間】なぜ、世の中は「モノ不足」なのか。
いま世界は、50年ぶりに訪れた「モノ不足」に揺れています。
>材料が入ってこない?
>コンビニや飲食店でから揚げやポテトの販売休止?
>家電、カーナビが品不足?
さらには、モノ不足によって価格上昇も引き起こされています。
近年では、パンや冷凍食品、寿司などの「食品総値上げ」されており、
将来の食料不足を懸念されています。
過去に遡ると、モノ不足になったのは、1970年代に起きた「オイルショック」以来です。
今回は、ビジネスパーソンが知るべき「モノ不足」について、お伝え致します。
要因① コロナ禍による生活スタイルの変化
コロナ禍になったことで、世の中の働き方、生活スタイルが大きく変わりました。
アメリカでもリモートワークの広がりによって、郊外移転が増え、新築住宅着工件数がコロナ前より2倍ほど増加しました。これに伴い、住宅建設に使う、木材需要も急増しています。
その他にも室内で満喫できる巣ごもり需要として、人気に火がついたのがゲーム(任天堂の「ニンテンドースイッチ」は、2020年度に前年度比37%増、過去最高販売を記録)、感染リスクの少ない「移動する個室空間」として車の需要が上昇(旅行などは車で移動する人が増えている)など、
コロナ化で新築を立てる、ゲーム機を購入する、車を購入する需要が増え、
半導体や木材が不足してきました。
まとめ
〇感染の少ない個室空間で移動する手段としての需要
〇巣ごもりエンターテインメントとして利用増加
〇コロナ化で郊外移転で木材住宅の需要やリフォーム需要が拡大
要因② 労働者不足
日本は少子高齢化が進行している中、アメリカでも出生率が約40年ぶりに最小となったと言われています。人口に占める高齢者比率が増加したことで、体力が必要な物流業界の人手不足要因にもなっています。その中で、日本を含む多くの国では、サービス業や農業、物流業界などが外国人労働者に依存してきました。
そうした中、コロナ禍を機に外国人労働者の国際移動の制限がかかったことで、各国で進行していた人手不足の問題があらわになりました。
最大の理由は、主に外国人労働者が担っていたガソリン輸送のトラック運転手が不足したことです。
まとめ
〇輸送に必要な外国人のトラックの運転手不足
〇感染症拡大により、自動車部品や鶏肉まで生産停滞
〇出生率の低下と生産年齢人口減少
〇コロナ禍で外国人労働者が減る
要因③ 海運(モノを作れても運べない)
コロナ禍でモノ需要が拡大する一方、外出制限などで現場作業が滞り、コンテナ輸送をさばくペースが低下してしまいました。
こうして2020年夏ごろから、海運に使うコンテナ船が不足。それによってコンテナ運賃も2倍以上に高騰しています。
さらには、コンテナの積み下ろし待ちの船が急増したことにより、米ロサンゼルスの港湾を中心に「港の大混雑パニック」へと波及しました。
まとめ
〇アジアからの家具や雑貨、食品などの物流が滞る。
〇自動車部品の輸送が遅れ、自動車減産の要因に
〇木材不足(ウッドショック)や鶏肉不足(チキンショック)に
〇コンテナ船が足りていない
〇港湾の混乱によるコンテナ船の渋滞
要因④ 穀物の不足
食品メーカー各社が2022年1月以降にパンや食用油などを5〜10%ほど一斉値上げされ、2021年4月や7月にも相次いで値上げしているだけに、食品の「値上げラッシュ」は深刻化されています。その背景には、パンや豆腐、食用油の原材料である小麦や大豆、とうもろこしなどの穀物の世界的な高騰です。
最大の要因は、右肩上がりの需要に対して生産する農地面積が増加していないこと。また、世界的な肉食需要の拡大も、穀物不足が要因になっています。もちろん、穀物価格が上がれば、食肉価格も上がり、日本でも牛丼の値上げなどが相次ぎ、「ミートショック」として肉の価格上昇が懸念されています。
さらに、ブラジルなど新興国では、焼き払い型農業による農地の劣化のほか、火災による農地焼失も懸念されています。
まとめ
〇農地面積の限界
〇世界の高温化と頻発する穀物の不足
〇パンや植物油、豆腐など食品価格が上昇
〇穀物を原料とするペットフード不足も招く
要因⑤ (工場を止めるほどの)電力不足
この夏、欧州では一帯で「風不足」だったことから、風力発電量が激減。風力発電を多く使うスペインでは、価格が前年同期より約40%も上昇しています。
さらに、電力価格上昇の背景として、CO2を多量に排出する石炭火力発電から、排出量が比較的少ない天然ガス発電へと切り替えを急いだ結果、ガス価格が高騰したことも挙げられています。
中国でも、脱炭素政策の一環で石炭発電を控えたところ、電力不足が発生しています。
9月中旬以降、多くの省で電力不足による工場の操業停止が起こり、停電によって信号やエレベーターが止まった地域もあるようです。
まとめ
〇天候次第で発電量が不足してしまう。
〇CO2排出が多い石炭発電を減らしたことで天然ガス価格が高騰
〇原子力発電所の稼働停止と火力発電所による恒常的電力不足
以上の5つが主な要因になります。
人手不足や食糧不足、さらにはエネルギー不足といった諸問題は、これからも人類が抱える構造的な課題です。
そうした課題を理解するためには、より具体的にモノ不足の背景を把握する必要があります。
その要因を知ったうえでできること、やらなければならないこと、資金改善する上で必要なことを実践してください。