最低賃金31円UPが中小企業へ与える影響
最低賃金の上昇は経営者が抱える悩みの一つではないでしょうか。
今回のブログでは、最低賃金の上昇が中小企業へ与える影響をまとめてみました。
□最低賃金の政府目標とは
政府目標では最低賃金について2017年3月の働き方改革実現会議が決定した「働き方改革実行計画」で年率3%程度を目途として、名目GDP成長率にも配慮しつつ引き上げ、全国加重平均が1000円になることを目指すとされています。
なので、今年度も例外に漏れず最低賃金が上昇しています。
地域によって改定日は異なりますが10月上旬に順次改訂しています。
直近の傾向を見てみると2016年(平成28年)以降は、毎年の上昇額は20円を超えていますが、2020年はコロナウイルスが広まり、日本中が混乱したこともあり賃金上昇額は1円となっています。意外と自身の地域の上昇額の推移をご存じない方もいるので、改めて、自身の地域の最低賃金を確認してみると発見があるかもしれませんね。
□2022年度の最低賃金の状況
さて、気になる今年度の状況ですが、全国加重平均の現在の最低賃金額は「961円」となっています。
上昇額は「前年930円」から「31円」上昇し、上昇率としては「3.33%」になりました。
上昇額、上昇率のいずれも過去最高の値上げ幅となっています。
過去最高の値上げ幅と聞くとインパクトがありますね。
中小企業の経営者は、この上昇スピードについて行かなければなりませんので、かなりの負担を強いられているのではないでしょうか。
□パートタイマーを悩ませる130万円の壁
サラリーマンの方などは上昇額31円と聞くと「まぁまぁ仕方ないか」と思ってしまうかもしれませんが、中小企業において実際にどのような影響があるのか考えてみましょう。
まず、最低賃金の上昇で影響が出やすいのはパートタイマーの方です。
なぜなら、パートタイマー(短時間労働者)の場合、社会保障保険加入の対象外である年収130万円の壁を気にする必要があり、年収が130万円以下に納まるように計算しながら働いている方が多いからです。
時給が上昇すると、働ける時間が短くなる訳ですから、最低賃金上昇は直結した問題と言えるのです。
□最低賃金31円UPが与える影響
結論としては、「31円」上昇することで、年間で約7日間相当の働く機会が減ることになります。
計算してみると以下のようになります。
■毎月の給料の目安 ※社会保障保険加入の対象外で働く場合
年収130万÷12ヵ月=月108,333円
■2022年10月以前のひと月当たりの勤務時間
月収108,333円÷時給930円=①約116.4時間
■2022年10月以降のひと月当たりの勤務時間
月収108,333円÷961円=②約112.7時間
※①と②の差額は約3.7時間
■時給上昇による勤務時間への影響(失われる労働時間)
約3.7時間×12ヵ月=約44.4時間
■時給上昇による勤務日数への影響(年間で働けなくなる日数)
約44.4時間÷6時間=約7.4日
※一日6時間勤務と想定した場合
□パートタイマー3名で1ヵ月の労働が失われる
上記で計算通り一人あたり約7.4日の労働が失われる訳ですから、もし3名のパートタイマーを雇用している場合、この度の最低賃金31円上昇で1カ月分の労働が失われたことと同じ影響があります。
経営者の皆様…
今月から1カ月分相当の業務改善や効率化は進められましたか?
きっと、ほとんどの会社が先月と変わり映えしない状況ではないでしょうか。
31円と聞くと仕方がないなと見過ごしてしまいがちですが、1カ月分の労働が失われると聞くと危機感も増してくるはずです。
今後も最低賃金上昇の流れは続いていきます。
だからこそ、この機会に大胆な改革に取り組んでいくことが必要になりますね。
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以 上