【3分】価格支配力という考え方
皆さんこんにちは。NBCの釜田です。
当ホームページやブログは多くの経営者や幹部層にご覧をいただいております。
今回のテーマは、昨今の物価高に対応するための考え方、
いつまで物価高がつづくか分からない、少子高齢化・人口減少の見えている未来の中で
養うべき「価格支配力」について3分解説します。
① 価格支配力の定義
意味は「自社商品・サービスの販売価格を管理・決定・マネジメントする力」のこと。
具体的にすると、コスト高の圧力に耐えきれなくなった場合、単に値上げをすればよいではなく、
需要や競争力に悪い影響を与えることなく、値上げを行うこと。
つまり需要を減退させてしまったり、競合他社にシェアを侵食されたりすることなく、
利益を維持・拡大するために価格を引きあげる能力のことです。
健全な企業経営において高い収益性は基盤ですが、値上げは反面、
顧客の利益を大きく損なうことにもなり、長期的な視野で判断の是非が求められます。
日本企業は総じて価格転嫁力が弱いとされており、
失われた20年・30年とも言われるデフレスパイラルなど、
日本経済そのものの背景も当然ありますが、
そもそもの思考として値上げ意識が低い。顧客離れが怖く踏み切れない意識が
根強いとも言えます。
参考:2023年11月28日 日本経済新聞 コスト削減はもう限界 低生産性、「値上げ力」で打破
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC13CB70T11C23A1000000/
② 価格支配力を高めている会社がしていること(事例)
その中でも、多くの日本を代表する企業が様々な手法で価格支配力を高めています。
総じては、顧客の声なき声から商品・サービスが展開されていることがポイントです。
・sonyのミラーレス一眼レフカメラα
キヤノンやニコンの一眼レフ二大巨頭を、
規格統一(sonyのカメラはどのメーカーのレンズも使える)で弱みを補い、追いかける。
プロユーザーの潜在ニーズ(軽量、瞳フォーカス)を活かし、戦う基準を変えた。
➤ミラーレス一眼レフが世界一になる。
・日東電工 工業用ガス、香水原料など
自分たちの価値の作り込みを徹底しており、
競合と対峙したとき、顧客側が選ぶ付加価値(感応検査)に重点を置いた製品を創造している。
③ 価格支配力を高めるためにすべきこと
では我々、中小企業経営者はどこに目を向けるべきでしょうか◆2つで要点解説します。
◆価格の決め方は大きく分けると3種類あります。
1、原価の上澄み+利益での価格設定
2、競合会社との兼ね合いでの価格設定
3、顧客の声、お客様手動での価格設定
結論を言うと、1と2の要素を組み入れて価格を創造する考えを持つ。
ポイントは3の要素は「一切入れない」という考え方です。
◆革新を生むのは、新商品開発と考えがちです。
しかし、新商品はあくまで選択肢の一つ。注目すべきはマーケットイノベーションという考えです。
顧客インサイト(心のツボを押すもの)を捉える、潜在的ニーズに働きかけることが重要。
結論は人間の本能(慣れている、面倒であるなど)を商品・サービスの性質にうまく落とし込んでいること、
それがなによりも重要で、価格は総じて「付いてくるもの」というイメージです。
フットワークが軽い我々、中小企業が最も得意とする領域ではないでしょうか。
参考図書:価格支配力とマーケティング 菅野誠二氏