コロナ禍で苦しむ中小企業を救う?!新経済理論の黒船「MMT」
皆さんこんにちは。資金コンサルの細川です。あっという間に東京オリンピックが終了し、パラリンピックも今週末に閉会式が行われますね。応援に熱が入っている方もいらっしゃるとは思いますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。ここ東京は、先週とは打って変わって涼しい日が続き気温の変動が大きくなっていますが、体調崩されないようにお気を付けください。
本日は普段とは視点を変えて、最近話題のマクロ経済学であるMMT(現代貨幣理論)について簡単にご紹介します。
デフレ不況の対策
現在国内は、バブル崩壊後からの景気低迷に加え、コロナ禍による更なる追い打ちで深刻なデフレ不況(消費や投資などの需要不足によりお金の価値が上昇する)に陥っています。
これに対して、日銀は金融政策(ゼロ金利政策)や量的緩和(国債などを金融機関から買い入れて資金を大量に市場に供給する)を行い、何とか景気を下支えしインフレに誘導しようとしてきました。しかし皆さんが感じられている通り、これらの政策は効果的とは言えない状況です。
また、景気対策のもう一つの対策としては、政府による財政政策があります。これは政府が国債を発行し公共事業等を行うことで需要を増やし、景気回復(インフレ)を図るものです。
しかし、財政政策はいわゆる赤字国債の発行で財源を補うことになるため、将来の世代にツケを回し国家予算の破綻を招くとして、あまり積極的には行われてきませんでした。特に近年は「プライマリーバランス健全化」、つまり歳入と歳出の差を少なくして「国の赤字を減らし、国債発行残高を抑制しよう」という謳い文句で、財政支出が抑制され続け消費税増税まで行われてきました。
このような閉塞した状況で登場したのがMMTになります。
MMTとは
この理論による結論は、財政政策による国債発行(借金)は、最終的に政府の子会社である日銀が買い取ることで相殺されるため(自分で自分に貸付と借入していることと同じ)、たとえ国債発行残高が拡大しても債務不履行せず、むしろ積極的に財政政策を進めるべきとしています
詳細な仕組みの説明は、こちらの図表が大変参考になるのですが、政府が国債発行で借金をすること(負債を増やすこと)は、金融機関の日銀当座預金を増やすこと(資産を増やすこと)になります。そしてこのプロセスの中で発生した政府の赤字と引き換えに、市中の企業の黒字が増えることになります(政府の赤字は企業の黒字)。
この資産と負債を基準にした貨幣(資金)の考え方については、前回の私のブログで「貸借対照表に載っているものすべてが資金」と述べた、NBCの資金術と共通しています。つまり、政府と国内の企業をすべて1つの経済主体と考えれば、貸借対照表上ではバランスするため、政府の国債発行残高の分だけ、企業の資金が増えるのです(政府の負債は企業の資産)。
現状を打破する救世主になりうるか?
以上のように、もしMMTが正しくそれに基づいた財政政策が強化されれば、コロナ禍で苦境に立たされている中小企業を救い、長年の不景気をも打破する可能性もあります。実際すでに中国やアメリカでは、MMTに基づく膨大な財政政策により消費や投資が高まり、例えばいわゆる「ウッドショック」が発生しています。さらに実は世界大恐慌(1929年)の際、いち早く不景気を脱出した日本がとった政策は、MMTと同じ考えによるものでした。
果たして今後どのような政策が採られるのか、注視していきたいところです。
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