資金の観点から予算作成の方法

NBC資金を増やすコンサルティング株式会社、福岡支社長の木下です。

今回のブログは予算作成についてです。多少長くなりますが、予算作成のための考え方を出来るだけ分かりやすくお伝えしますので、最後までお読みください。

①間違った予算の作成方法
②借入金の返済額と内部留保に必要な額を先に決める
③売上をどこまで減らすことが出来るか?
④粗利率(売上総利益率)を上げる


皆さんは予算作成はやっていますか?やっていたとしてもどのように作成していますか?

今回のブログは資金の観点から予算作成の方法を伝授します!

これを理解し、実践して頂ければ絵に描いた餅ではなく、何故その予算を達成しなければならないのか、数字と行動を紐づけし、売上を上げるだけではなく、何をしなければならないのかが明確になります。さらに資金が減ってしまう原因までも分かってしまいます!

①間違った予算の作成方法

良くある間違った予算の作成方法は、前年の○%アップという作成方法です。売上は前年の120%にしようとか、前年をベースに売上げから決めてしまう方法です。この方法で予算を作成してしまうと、売上ばかりに意識が行ってしまい、資金を減らす経営に陥ってしまいます。資金を減らす経営とは、主に以下のものが上げられます。

■売上を上げるために設備投資をする

■売上を上げるために広告宣伝などの経費を増額する

■売上を上げるために人を雇う

■売上を上げるために値引きをする(キャッシュバックも同じ)

どうでしょうか?みなさんも売上を上げようとすると同じ事をするのではないでしょうか?ただでさえ、コロナウィルスの影響で売り上げが望めないこの状況で、このような事をしてしまうと、ますますお金が減ってしまいます。さらに言ってしまうとこの売上を上げるための対策は大企業であれば一定の効果が見込まれますが、中小企業がやってしまうと、資金を減らしてしまいます。なぜでしょうか?その差は、資本力と、仕組みです。

大企業は市場から調達してきた豊富な資金を基に、省コストで大量生産できる設備力と、誰がやってもある程度利益が出るような仕組みが出来上がっています。大企業で働く人が言っている、組織の中では、歯車の一部でしかないというのは、この事ですね。誰がやっても儲かるような仕組みがあるので、上場できるのです。反対に、中小企業は、資金は銀行から調達し、社長が保証人になり、仕組みはやりながら、構築していくスタイルが殆どだと思います。とてもリスキーですよね。では、どのように予算を作成していくのか?

②借入金の返済額と内部留保に必要な額を先に決める

実は資金の観点から予算作成する場合に最初に考えるポイントはこの2つです。

■借入金の返済額

これは、金融機関から取得する借入返済計画表を基に全ての借入先の年間の返済額を集計するのです。1か月あたりの元本返済額が100万円であれば、年間返済額は1,200万円です。

■内部留保に必要な額

数年後に自己資本比率を○%にしたい、という指標の目標や、手許資金を○万円にしたいという場合に、10年後までにはという場合は、10年後から逆算し、1年にいくら内部留保しなければならないかという数字を計算するのです。

例えば、5年後までに手元資金を今より5,000万円増やすという目標がある場合には、5年後から逆算し、1年に1,000万ずつ利益を積み立てるといった具合です。当然、税引後で1000万必要ですから、税引き前の利益は以下のような計算式になります。分かりやすいように減価償却は考慮しません。(実効税率は30%と仮定)

税引前の必要利益額=1,000万円÷70%

この計算で行くと、1,000万円の内部留保を積み立てるためには税引前で1,428万円必要になります。これに借入返済額を考慮すると以下のようになります。借入返済額は1,000万円とします。

税引前の必要利益額=(1,000万円+1,000万円)÷70%

税引前の必要利益額は2,857万円となります。

ここまでで、予算作成に必要な手順のいくら残すか?が決まりました。次のステップも大変重要です。

③売上をどこまで減らすことが出来るか?

驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。売上を減らす?予算なのに?そうです。売上を減らすのです。正確には今の収益体質、財務体質でどこまで売上を減らすことが出来るかを計算するということです。

②の項では1年で残す利益の金額の求め方を説明しました。この項ではその必要な利益をどれだけ効率よく数字を残すかを考えます。少ない売上で多くの利益を残すことを考えるのです。決して、売上を伸ばして利益を確保しようとしてはいけません。①で述べた、資金を減らしてしまう経営をしてしまいます。肝心なのはいまの会社の体質でどこまで売上を下げることが出来るかです。

ここで重要なポイントとなるのが、営業利益率です。営業利益率は以下の計算式で求めることが出来ます。

営業利益率=営業利益÷売上高

例えば、売上高10,000千円の会社の営業利益が100万円だとしたら、営業利益率は1%です。この営業利益で感じて頂きたいのは、うちの会社は100万円の営業利益を稼ぐために10,000万円の売上が必要なんだな、売上の1%が利益なんだな、ということです。

ちなみに、参考ですが、平成29年度の経済産業省企業活動基本調査では、営業利益は4.1%というふうに算出されています。

話しを戻しますが、ここで考えて頂きたいのが、経費を年間10万円削減すると売上が1,000万円いらなくなるということです。なぜだか分かるでしょうか?例で挙げた会社は売上10,000万円で営業利益が100万円です。そして、売上の1%が利益だとも説明しました。10万円の利益を稼ぐために1,000万円の売上が必要なわけですから、売上で利益を残すのではなく、使っている経費を減らすことによって、利益をねん出するという事です。

経費を10万円削減することによって、売上が9,000万円でも営業利益が100万円残るというわけです。

④粗利率(売上総利益率)を上げる

予算作成で必要な最後のポイントは、粗利率(売上総利益率)をあげることです。

ここでいう粗利率は、説明しやすいように売上総利益率と同じという前提でご説明します。正確には違いますが、細かいことを説明すると難しくなるので、この説明に限り同じという事で説明をしていきますので、ご了承ください。

最初に説明した間違った予算の作成方法に前期比〇%増加させるという説明をしましたが、もう一つ間違った方法があります。残す利益を決めるところまではいいのですが、残す利益を確保するために売上げがこのくらい必要だから、売上を増やすためのアクションプランを作りましょうというものです。大きくは間違ってはいないのですが、これでは予算のためのアクションプランになり資金を軸にした予算作成とは言えません。資金を軸にした予算作成で大切なのは①~③でご説明したことと、この項で説明する粗利率を上げるという事です。粗利率を上げるとは簡単にいうと値下げをしないで販売する。仕入れ値(原価)を下げる。利益率の高い商品の売上構成を増やす。無料でやっていたものを有料にする。です。シンプルですが、奥が深いです。その他にも業種ごと、規模ごとに出来ることは様々ありますが、実はこの粗利率を上げるという事こそ、資金を軸に考える。と同義であると言えるのです。粗利率を上げる経営を進めることで、会社の体質が、資金が残りやすい体質となり、最終的には売上に頼らない経営へとつながるのです。③で説明したようにここでも計算式を使って説明します。A社とB社は同じ商品を取り扱っていますが、A社は粗利率30%B社は粗利率35%だとします。どちらも100万円の営業利益を確保するために必要な売上はいくらかを計算します。どちらの会社も販管費は2,900万円だとします。

A

売上高 10,000万円

仕入   7,000万円

粗利   3,000万円(粗利率30%

販管費  2,900万円

営業利益  100万円

B

売上高  8,571万円

仕入   5,571万円

粗利   3,000万円(粗利率35%

販管費  2,900万円

営業利益  100万円

当然の結果ですが、粗利率が高いB社のほうが、必要売上高が少なくて済みます。売上を上げるためのアクションプランを作成するのではなく、粗利率を上げるためのアクションプランを作成し、売上をどれだけ減らしても大丈夫かを予算で確認するのです。売上を上げることは一般的には外部への働きかけが必要になります。また、先行投資も必要となります。その結果、外部の反応が思ったような結果を得られなかった場合、資金が大きく減少してしまうのです。反対に、売上を下げ、利益率をあげ、コストを削減することは内部への働きかけです。すなわち、自分たちが動くことによって、成せることが出来るのです。予算作成をする上で、規模を縮小する決断が必要な事も出てくることもあります。しかし、それは会社にとってマイナス成長ではなく、無駄なぜい肉をそぎ落とし、高収益体質へ変革するための痛みを伴う改革でもあるのです。

 

予算作成を通じ、今回のブログが皆様のお役立てることが出来れば幸いです。

 

今回の予算作成の考え方は、ごく一部のみをご説明しました。ただし、非常に重要な考え方でもあります。我々、NBC資金を増やすコンサルティング株式会社は資金を軸にした経営の勉強会を定期的に開いております。

 

今回のブログの内容のような勉強をもっとしてみたいという経営者の方がいらっしゃれば、一度お問い合わせをしてください。

 

⇒問い合わせ先

 

また、弊社代表の野呂が新書を出版しました。今回の資金を軸にした考え方を余すことなくお伝えしております。多くの経営者の方たちとの話の中で、世の社長が勘違いしている事、資金を増やすために社長が必要な知識として持たなければならないこと等、事例を交えて公開しております。気になる方は是非「金持ち社長のお金の残し方・増やし方」をお読みください。

木下

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